マラソンを走る市民ランナーや、陸上長距離種目に取り組む中学生や高校生、大学生といった学生さんなら、箱根駅伝を走る学生のエリートランナー達がどこのメーカーの、どのシューズを履いて走ったのか気になるところ。
今回の記事では、2024年1月2日と3日に開催された箱根駅伝(第100回東京箱根間往復大学駅伝競争)で出走した全230選手の足元のシューズに着目し、どのメーカーのシューズが一番人気だったのか、区間賞受賞者はどのモデルを履いていたのかを紹介しつつ、最後に着用率ランキングTOP7を紹介しています。ナイキやアディダス、アシックスなどの厚底シューズはどの程度履かれていたのか気になる方は是非参考にしてみてください。
目次
箱根駅伝2024は青山学院大学が総合優勝
2024年1月2日〜3日に開催された第100回箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競争)では、東京都渋谷区にキャンパスを構える青山学院大学が10時間41分25秒のタイムで2年ぶり7度目の総合優勝を果たしました。区間賞を獲得した2区と3区で勢いに乗り、往路は5時間18分13秒の新記録を樹立。復路でも勢いは衰えず、2位に6分35秒の大差をつけての圧倒的な勝利を飾りました。総合タイムも同大学が2022年に樹立した大会記録(10時間43分42秒)を2分以上も塗り替える大会新記録での優勝です。
また、前年の覇者であり、出雲駅伝でも全日本大学駅伝でも圧倒的な強さを見せつけ、史上初となる2年連続学生駅伝3冠目前だった駒澤大学は2位。城西大はチーム最高成績となる3位。そして、4位は東洋大学、5位は國學院大学、6位は法政大学、7位は早稲田大学、8位は創価大学、9位は帝京大学、10位は大東文化大学という結果になりました。
箱根駅伝2024でもナイキの厚底シューズが一番人気!ブランドシェアランキング
メーカー | 着用選手数 | シェア率 (前年シェア率) |
---|---|---|
nike (ナイキ) | 98人 | 42.6%↓ (61.9%) |
asics (アシックス) | 57人 | 24.8%↑ (15.2%) |
adidas (アディダス) | 42人 | 18.3% (18.1%) |
puma (プーマ) | 20人 | 8.7%↑ (3.3%) |
mizuno (ミズノ) | 5人 | 2.2%↑ (0.5%) |
on (オン) | 3人 | 1.3%↑ (0%) |
hoka one one (ホカオネオネ) | 2人 | 0.9%↑ (0%) |
new balance (ニューバランス) | 1人 | 0.4% (0.5%) |
under armour (アンダーアーマー) | 1人 | 0.4% (0.5%) |
brooks (ブルックス) | 1人 | 0.4%↑ (0%) |
毎年箱根駅伝では、出走する選手たちがどこのメーカーのランニングシューズを履くのか注目されます。そして、今回の第100回大会である箱根駅伝2024で一番人気だったメーカーは、例年通りnike(ナイキ)です。革新的な厚底シューズを発売以来、多くの箱根ランナーがナイキの厚底を着用していますが、それは2024年も変わらず、全230選手中98選手が着用し42.6%という一番のシェア率を記録しました。
ただし、2021年の95.7%、2022年の73.3%、2023年の61.9%から毎年下落し続け、2024年の今回大会では遂に50%を下回り、ナイキ一強の時代が終わりつつあります。ナイキ以外のメーカーでは国内最大のスポーツメーカーであるasics(アシックス)とadidas(アディダス)が人気です。特に、アシックスは2021年の0%の状況から、2022年は11.4%、2023年は15.2%と着実にシェアを拡大し、今大会では24.8%へと飛躍し、アシックス時代の到来を予感させる結果となりました。
また、ナイキ以外のシューズを選ぶ箱根ランナーが毎年着実に増え、今大会では初めてOn(オン)やHOKA(ホカ)、BROOKS(ブルックス)の厚底を着用するランナーも登場しました。
アディダスやアシックスも好記録!箱根駅伝2024の区間賞ランナーの着用シューズ一覧
区間 | 選手名 | 大学(学年) | 記録 | シューズ |
---|---|---|---|---|
1区 | 篠原 倖太朗 | 駒澤大学(3年) | 1時間01分02秒 | アルファフライ3(ナイキ) |
2区 | 黒田 朝日 | 青山学院大学(2年) | 1時間06分07秒 | アディオスプロエヴォ1(アディダス) |
3区 | 太田 蒼生 | 青山学院大学(3年) | 59分47秒 | アディオスプロエヴォ1(アディダス) |
4区 | 佐藤 一世 | 青山学院大学(4年) | 1時間01分10秒 | アルファフライネクスト%2(アディダス) |
5区 | 山本 唯翔 | 城西大学(3年) | 1時間09分14秒 (区間新) | ヴェイパーフライネクスト%2(ナイキ) |
6区 | 武田 和馬 | 法政大学(3年) | 58分02秒 | ヴェイパーフライネクスト%3(ナイキ) |
7区 | 吉居 駿恭 | 中央大学(2年) | 1時間02分27秒 | ヴェイパーフライネクスト%2(ナイキ) |
8区 | 塩出 翔太 | 青山学院大学(2年) | 1時間04分00秒 | アディオスプロ3(アディダス) |
9区 | 倉本 玄太 | 青山学院大学(4年) | 1時間08分51秒 | メタスピード(アシックス) |
10区 | 岸本 遼太郎 | 東洋大学(2年) | 1時間08分51秒 | ヴェイパーフライネクスト%2(ナイキ) |
箱根駅伝2024では、全10選手が区間賞を獲得しています。区間賞受賞者の選手の着用シューズを見てみると、全10人中7人がnike(ナイキ)の厚底シューズです。今大会のナイキの着用率は42.6%ですが、区間賞獲得者に限ると70%の脅威的なシェア率です。厚底の代名詞であるナイキのヴェイパーフライシリーズやアルファフライシリーズが相変わらずの強さを発揮した形となりました。
また、ナイキ以外では、アディダスとアシックスの厚底シューズを着用した選手も見事に区間賞を獲得しています。青山学院の総合優勝の立役者となった2区の黒田朝日選手と3区の太田蒼生選手がともにアディダスのアディオスプロエヴォ1を着用し区間賞を獲得しました。そして、同じく青山学院の9区を担当した倉本玄太選手はアシックスのメタスピードを着用し区間賞を獲得しています。
一番人気はどのモデル?箱根駅伝2024シューズの着用率ランキングTOP7
【第7位】ミズノ ウエーブリベリオンシリーズ【2.2%(5人)】
箱根駅伝2024を出走した全230選手の中で5人が着用し2.2%の着用率を記録した7番人気のシューズが、mizuno(ミズノ)の厚底レーシングシューズである「MIZUNO WAVE REBELLION SERIES(ミズノ ウエーブリベリオンシリーズ)」です。ミズノのウエーブリベリオンシリーズには、SONIC(ソニック)、FLASH(フラッシュ)、PRO(プロ)の3種類ありますが、今回5名の箱根ランナー達が着用していたのは、ウエーブリベリオンプロの最新作にあたるプロトタイプ(試作品)です。
ミズノのウエーブリベリオンプロは、ミズノが誇る爆速レーシングシューズ。踵部分がカットされ、多くのランナーが憧れるフォアフット走法をスムーズにアシストしてくれるのが最大の特徴です。ランナーの理想的な走り方とされるフォアフット走法で自然と走れるため、長距離走においてふくらはぎへの負担を軽減出来るのが魅力です。また、ミッドソールにはミズノが誇るハイクッション・高反発素材であるMIZUNO ENERZY LITE+を採用し、ミッドソールに挟まれたカーボン強化ナイロンプレートとの組み合わせにより、優れた推進力を得られるシューズとなっています。他メーカーの厚底シューズと比べるとクセのある見た目と構造になっているものの、フォアフット走法をサポートしてくれる特殊なシューズとなっているため、フォアフット走法に憧れるランナーは一度試してみるのはアリです。
ミズノ ウエーブリベリオンプロ2
【第6位】アディダス タクミセンシリーズ【3.9%(9人)】
箱根駅伝2024で全230人中9人が着用し着用率3.9%を誇り全体で6番人気となったのが、adidas(アディダス)の「ADIZERO TAKUMI SEN SERIES (アディゼロタクミセンシリーズ)」です。今回の第100回大会で脅威的なタイムで優勝を果たした青山学院大学ですが、その10選手中3選手がこのアディゼロタクミシリーズを着用していました。
アディダスのアディゼロタクミセン10は、駅伝を含め5kmからハーフマラソンまでのショートディスタンスを想定した厚底レーシングシューズです。アディダス独自の5本骨状バーであるENERGY RODSを搭載し、通常の厚底カーボンシューズよりも接地感覚や屈曲性を損なうことなく爆発的な推進力を得られるのが最大の特徴です。また、同じくアディダスで人気の厚底レーシングシューズであるアディオスプロ3と比べ、ミッドソールの厚みが程よい厚みに抑えられ、反発力も強すぎることがないために、厚底シューズながらも薄底シューズに近い感覚で走れるのも大きな魅力となっています。もちろん、アディダスが誇る高反発クッショニング素材であるLIGHTSTRIKE PROをミッドソールに採用しているため、十分なクッション性と反発性を得ることが出来ます。
アディダス アディゼロタクミセン10
【第5位】プーマ FAST-R NITRO ELITEシリーズ【8.7%(20人)】
箱根駅伝2024で8.7%の着用率で5番人気となるなど、大きな躍進を遂げたのが、puma(プーマ)の厚底レーシングシューズである「FAST-R NITRO ELITE SERIES(ファストRニトロエリートシリーズ)」です。前回大会では3人の着用に留まった同シリーズですが、今大会では20人ものランナーが着用し見事な走りを見せてくれました。
プーマのファストRニトロエリートは、プーマ独自のカーボンファイバープレートであるPWRPLATE(パワープレート)が剥き出しになっているのが大きな特徴です。PWRPLATEは地面に近い位置に配置され、安定性を確保しながらも優れた推進力を得られる構造となっています。また、ソールが前足部と後足部で2分割された形状となっているのも特徴的で、前足部にはプーマ史上最高の高反発を生むクッショニング素材であるNITORO ELITE FOAMが採用されています。NITORO ELITE FOAMは軽量性にも優れた素材で、厚底カーボンシューズとしては最軽量クラスとなる194gの軽量性を実現させています。
プーマ ファストアールニトロエリート
【第4位】アディダス アディオスプロシリーズ【14.3%(33人)】
箱根駅伝2024で4番人気となったシューズが、adidas(アディダス)の爆速レーシングシューズである「ADIZERO ADIOS PRO SERIES(アディゼロアディオスプロシリーズ)」です。全230選手中33人がアディゼロアディオスプロシリーズを着用し、14.3%の着用率を記録しました。また、シリーズの中で一番着用率が多かったのは「ADIOS PRO 3」ですが、販売価格8万超えのプレミアムシューズとして発売当時話題となった「ADIOS PRO EVO 1」を着用したランナーは3人中なんと2人も区間賞を獲得する見事な結果となりました。
アディダスのアディゼロアディオスプロ3は、海外のトップ選手も多く着用するアディダス最速レーシングシューズ(マラソンシューズ)。5本指カーボンとも呼ばれるアディダス独自の5本骨状カーボンバーであるENERGYRODS2.0を高反発素材であるLIGHTSTRIKE PROに挟み込み、爆発的な推進力が得られるのが特徴。また、他の厚底カーボンシューズよりも安定性に優れているのも特徴で、フォアフット走法のランナーだけではなくミッドフット走法やヒールストライク走法のランナーでも比較的扱いやすいのも特徴です。
アディダス アディゼロアディオスPRO3
【第3位】ナイキ アルファフライシリーズ【15.2%(35人)】
箱根駅伝2024で3番人気のシューズとなったのが、nike(ナイキ)の最強&最速レーシングシューズである「ALPHA FLY(アルファフライ)シリーズ」です。全230選手中35人がアルファフライシリーズを選び着用率15.2%を記録しました。ちなみに、最新作である3同様に旧モデルである2も以前人気で着用率はほぼ同じです。また、アルファフライシリーズを着用した駒澤大学1区の篠原選手、青山学院大学4区の佐藤選手、青山学院大学8区の塩で選手がそれぞれ区間賞を獲得しています。
ナイキのアルファフライネクスト%2は、今や長距離業界の世界王者であるナイキが誇る世界最高峰のマラソンシューズです。前足部に2つのZoom Airユニットを搭載しているのが最大の特徴で、ZoomXフォームとフルレングスのカーボンファイバー製プレートとの組み合わせにより、異次元の推進力を得られる爆速シューズとなっています。特にZoom Airユニットが重要なキーで、その部分で正しく着地することでNIKE史上最高のエネルギーリターンを得られる仕組みとなっています。そのため、完全にフォアフット走法を習得したエリートランナー向けのシューズとなっています。
ナイキ エアズームアルファフライネクスト%2
【第2位】アシックス メタスピードシリーズ【24.8%(57人)】
箱根駅伝2024の全230選手中57選手が着用し着用率24.8%を記録し全体2番人気となる大躍進を遂げたのが、asics(アシックス)の全体で4番人気となったのが、asics(アシックス)の厚底レーシングシューズである「METASPEED SERIES(シリーズ)」です。メタスピードシリーズはストライド走法向けのSKYシリーズとピッチ走法向けのEDGEシリーズの2種類ありますが、特に今大会で人気が高かったのがEDGEの方です。SKY+よりもEDGE+の方が、扱いやすいということでストライド走法のランナーも含め、多くの選手がEDGE+を選んでいました。
アシックスのメタスピードエッジプラスは、日本人ランナーに多いとされるピッチ型ランナーに向けて特別に開発された厚底レーシングシューズです。V字形状のカーボンプレートをミッドソール下部に配置し足の回転数を上げやすいように工夫されているのが大きな特徴です。また、ミッドソールにはアシックスが誇る高反発素材であるFF BLAST TURBOが搭載されているため、カーボンプレートとの組み合わせにより爆発的な推進力を得られうるのも魅力です。おまけに、海外製の厚底シューズと比べて、ミッドソールの沈み込みがそこまで大きくなく、着地時の安定性にも優れているため、多くの日本人ランナーが扱いやすい仕様となっているのも、今回のアシックスの厚底の快進撃の大きな要因となっています。ナイキの厚底シューズが合わないと感じる人は是非試してみたい一足です。
アシックス メタスピードエッジプラス
【第1位】ナイキ ヴェイパーフライシリーズ【27.0%(62人)】
箱根駅伝2024で最も多くの箱根ランナーに選ばれた一番人気のシューズが、nike(ナイキ)の「VAPORFLY(ヴェイパーフライ)シリーズ」です。全230選手中62人が着用し、27.0%というNO.1の着用率を誇りました。また、区間賞を獲得したランナーの中でも一番着用率が高く、全4選手がヴェイパーフライシリーズを着用し区間NO.1のタイムを叩き出しました。
ナイキのヴェイパーフライ3は、NIKE史上最強の反発力を生むZoomXフォームをかかとからつま先まで採用し、さらにフルレングスのカーボンファイバープレートを搭載することで、爆発的な推進力を得られるシューズとなっています。また、ヴェイパーフライシリーズよりも後に登場しナイキ最高峰のマラソンシューズとして君臨しているアルファフライシリーズと比較すると、着地時の安定性や扱いやすさに優れているため、アルファフライシリーズ登場以降もヴェイパーフライシリーズが多くのランナーに得らればれるナイキ人気NO.1のレーシングシューズとなっています。もし、ナイキの厚底に挑戦するなら、まずは箱根ランナーからも人気が高く、比較的扱いやすいヴェイパーフライシリーズから試してみるのがオススメです。
ナイキ ヴェイパーフライ3
箱根駅伝2024で人気だった爆速シューズの走りを体験してみよう
今回の箱根駅伝2024では、ナイキのヴェイパーフライシリーズやアルファフライシリーズ、アディダスのアディオスプロシリーズ、アシックスのメタスピードシリーズが着用率が高く、人気のシューズという結果となりました。これらのシューズはどれも高反発クッショニング素材を採用し、そこにカーボンプレートを搭載し、通常のランニングシューズでは得られない爆発的な推進力を得られる高速シューズとなっています。
中学校や高校、大学で陸上長距離種目や駅伝に取り組む学生さんや、マラソン大会でサブ2.5やサブ3、サブ3.5へと挑戦する市民ランナーの方は、是非箱根ランナーも着用した爆速シューズを着用し、その異次元の走りを体験してみましょう。