マラソンランナーや長距離選手は、今すぐにタバコを吸うのを辞めるのがおすすめです。タバコに含まれる有害物質は肺活量や持久力の低下につながるため、持久系スポーツに取り組む全ての選手に喫煙は悪影響です。また、ランニング後の喫煙は、せっかくの有酸素運動による効果を薄くしてしまうデメリットもあります。走るなら、禁煙がおすすめです。今回の記事では、タバコがどのようにランナーに影響を与えるのか詳しく紹介しています。
目次
タバコは200種類以上の有害物質を含み健康に悪影響
タバコの煙には、4000種類以上の化学物質が含まれています。その中には、200種類以上もの有害物質が含まれています。血管の収縮に作用し、血圧の上昇や心筋梗塞のリスクを高めるニコチンや、全身の酸素欠乏を引き起こす一酸化炭素、発がん性物質を多く含むタールといった、多くの有害物質が含まれています。
ニコチン、一酸化炭素、タールの三大有害物質だけではなく、ペンキ除去剤に使われるアセトン、車のバッテリーに使われるカドミウム、アリの殺虫剤に使われるヒ素、工業溶剤に使われるトルエンといった数多くの有害物質が含まれ、健康面で様々な悪影響を与えます。
代表的な健康被害として”がん”が良く知られています。タバコには50種類以上もの発がん性物質が含まれ、咽頭がん、肺がん、口腔がん、食道がん、胃がん、乳がん、子宮がんなどを誘発します。また、心筋梗塞や気管支ぜんそくなどの病気を引き起こし要因として良く知られています。
参照元:タバコの危険物質は、ニコチン、タールだけじゃない|すぐ禁煙.jp
タバコがランニングに与える影響
呼吸機能の低下
タバコは呼吸機能を著しく低下させます。私たちは、呼吸をする時、気管支を通して酸素を肺胞に取り入れています。しかし、喫煙を続けると、気管支や肺胞に炎症が起こり、肺胞が破壊されてしまいます。それによって肺機能の低下が起こり、そのまま呼吸機能の低下に直結するのです。
呼吸機能が低下すれば、息切れが起こりやすくなります。ランニング中でもすぐに息切れを起こすようになり、ランニングのパフォーマンスに大きな影響を与えます。タバコによって呼吸機能が低下すれば、それは有酸素運動能力の低下に直結しますので、持久力の大幅な低下へとつながっていきます。
スタミナの低下
タバコは持久力の低下につながると言われることが多い。その理由の一つは、タバコに含まれる一酸化炭素という有害物質によるものです。
一酸化炭素は血液中のヘモグロビンと結合する性質を持っています。本来、ヘモグロビンは酸素と結合し、体の隅々に酸素を届ける役割を果たしています。その働きにより、体の筋肉に酸素が届き、酸素が起点となり、エネルギーが生まれるのです。しかし、一酸化炭素は酸素よりヘモグロビンとの結合力が強く、酸素とヘモグロビンの結合を邪魔してしまいます。その結果、体に酸素が行きわたらなくなり、酸素欠乏を起こします。
ランニングのように、運動中は酸素が重要です。酸素によって体内の糖質や脂質をエネルギーに変えて、スタミナを発揮しています。しかし、一酸化炭素によって、体に上手く酸素が行きわたらなくなると、走るエネルギーが不足し、スタミナの低下につながっていくのです。
リカバリー能力の低下
ランニング後は少しでも早く筋肉を回復させることが大切です。筋肉を早く回復させることで、走るための筋力のアップや翌日以降のトレーニングの質向上に繋がっていきます。
しかし、喫煙によって体内に上手く酸素が行きわたらなくなると、その分だけ筋肉の回復が遅れます。タバコを吸う事自体でも、体はダメージを受けますし、タバコを吸う事で回復が遅くなるため、ランニング後のリカバリーに大きな影響を与えます。
喫煙によってランニングによる有酸素運動の効果が薄くなる可能性も
ダイエットや脂肪燃焼のためにランニング・ジョギングをしている人も多いと思います。ランニングは有酸素運動で、酸素を体内に多く取り込むことで、脂肪の燃焼を促してくれる運動です。
しかし、喫煙によって呼吸機能が低下し、酸素を取り込む力が弱くなっていたり、タバコに含まれる一酸化炭素によってヘモグロビンの酸素運搬機能が上手く働いていない状態で、ランニングをしても有酸素運動本来の効果を実感しにくくなることもあります。
ランニング前の喫煙は要注意
喫煙は健康によくありません。また、ランニングにも悪影響です。特にランニング前の喫煙には十分に注意しておきましょう。
タバコを吸うと、有害物質であるニコチンの働きによって、血圧や心拍数が上昇します。そのような状態でランニングをすれば、心臓にも大きな負担がかかります。狭心症や心筋梗塞などの既往がある人は、喫煙後の運動によって発作を起こすリスクが高まると言われています。そのため、ランニング前の一服には十分に注意をしておきましょう。
有酸素運動による効果を高める、タイムの向上を狙うなら禁煙が効果的
有酸素運動によるダイエット・脂肪燃焼を狙ったり、マラソン大会や陸上競技でのタイムの向上には、禁煙が効果的です。喫煙習慣は、持久力の低下・スタミナの低下、回復力の低下につながり、ランニング能力の低下につながるため、禁煙することでタイムの向上が期待出来ます。また、酸素をしっかり取り込む力が付くので、有酸素運動本来の効果を実感しやすくなります。
喫煙はランニングのパフォーマンスの低下につながるだけではなく、様々な健康への悪影響があります。ランニングをするなら、タイムの向上のためにも、健康のためにも、禁煙に取り組むことをおすすめします。